血栓症とはどんな病気なのか
血栓症とは、血管の中に血の塊ができてしまい、血液の流れが滞ってしまう病気で、低用量ピルの副作用として懸念されているリスクの1つです。
低用量ピルの副作用としては、血栓症の一種である静脈血栓症が起こると報告されています。この静脈血栓症は、低用量ピルを4週間以上休薬したうえで服用を開始すると、発症リスクが高くなるといわれています。
低用量ピル服用で血栓症が起こってしまう確率
低用量ピルの主な副作用として血栓症のリスクが挙げられますが、低用量ピルの服用によって血栓症を起こす確率は、海外の疫学調査で年間1万人に3~9人の割合だと報告されています。
一方で、低用量ピルを飲んでいない人が血栓症を発症する確率は年間1万人に1~5人といわれているため、ピル服用により少なからずリスクが高まっていると考えられます。
しかし、実際に血栓症を発症するリスクは低用量ピルの服用によるものよりも妊娠中や出産後の方が高く、妊娠中では年間1万人に5~20人、出産後では年間1万人に40~65人とされているのです。そのため、ピル服用による血栓症のリスクは、妊娠中や出産後に比べると非常にまれだといえるでしょう。
低用量ピル服用により血栓症が起こってしまう原因と血栓症のリスクが高くなる要因
低用量ピルは“卵胞ホルモン(エストロゲン)”と“黄体ホルモン(プロゲステロン)”という女性ホルモン成分が配合されている薬です。
このホルモンのはたらきにより、排卵を抑え、妊娠するために必要な卵子を卵巣から排出されないようにすることで避妊効果を発揮します。そのほかにも、ホルモンバランスを整えることにより生理痛やPMSの緩和やニキビなどの肌荒れ改善、また長期服用することで子宮体がんや卵巣がんの予防にもつながります。
しかし、低用量ピルには少なからず血栓症を発症するリスクがあります。この血栓症のリスクついては、低用量ピルを服用する際に必ず注意しておかなければいけません。
原因(1)エストロゲンに血液を固める作用がある
低用量ピルは“卵胞ホルモン(エストロゲン)”と“黄体ホルモン(プロゲステロン)”が主成分の薬です。
この低用量ピルに含まれるエストロゲンには、血液を固まりやすくしてしまう“凝固作用”があります。そのため、低用量ピルの服用により、血液中のエストロゲン濃度が高くなることで血液が固まってしまい、血栓ができやすくなると考えられているのです。
原因(2)水分不足で脱水症状を引き起こしている
低用量ピル服用中はエストロゲンの作用により、血液が固まりやすくなります。
そのうえで水分不足による脱水症状を引き起こした場合、体内の血液が濃縮され、ドロドロとした状態になってしまいます。こうした状態を作り出してしまうことで、血液の循環が悪くなり、血栓症を引き起こしてしまうリスクも高くなるのです。
原因(3)長時間同じ体勢で体を動かさなかった
血栓症を引き起こしてしまう原因のひとつとして、電車や車、デスクワークなどで長時間同じ体制で体を動かさない状態でいることも挙げられます。
長時間同じ体勢でいることにより起こる血栓症は“エコノミークラス症候群(肺塞栓症)”と呼ばれ、脚の血流が滞り、そこに血栓ができてしまうことにより発症します。
低用量ピル服用中は血液が固まりやすく、血栓ができやすい状態になっているため、できるだけ長時間同じ体勢のままでいることは避けましょう。
原因(4)ピル服用中に1日15本以上喫煙をしていた
低用量ピルを服用中に喫煙をする場合、以下のようなリスクが高まるといわれています。
- 静脈血栓症
- エコノミー症候群(肺塞栓症)
- 心筋梗塞
- 脳卒中
特に35歳以上で1日に15本以上タバコを吸う方の場合、このような重大な病気を発症してしまうリスクが増加してしまいます。そのため、35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方には低用量ピルを処方することはできません。
また、タバコの本数が多くなり、年齢が高くなるほど、副作用を引き起こすリスクが高くなってしまうため、低用量ピルを服用するためには喫煙量を減らすか禁煙が必要です。
原因(5)40歳以上での服用、肥満や高血圧などの持病がある
低用量ピルを服用する際には、年齢にも注意しなければいけません。
基本的には40歳以上でピルを服用する場合には血栓症を発症するリスクが高まることを理解しておきましょう。
加齢によりリスクが増加する原因は、卵巣機能のバランスが崩れることや余剰なホルモンの摂取により、血管障害を引き起こしてしまうことなどが挙げられます。
低用量ピル服用中に注意したい血栓症の初期症状
低用量ピル服用によって血栓症を発症した場合、以下のような初期症状が現れることがあります。
- ふくらはぎや脚全体のむくみや痛み
- 手足のしびれ
- 胸の鋭い痛み
- 胸を押しつぶされるような痛み
- 突然の息切れ
- 激しい頭痛
- めまい
- 失神
- 視覚、言語障害
このような初期症状が現れた場合は、すぐにピルの服用を中止し、早急にかかりつけの医師に相談するか、循環器内科を受診してください。
また、このような症状に当てはまるものがない場合でも、心配な症状があるときはピルを処方してもらっているかかりつけの医師に相談・報告するようにしましょう。
ささいな体の不調や変化を見逃さないことが、重大な病気を発症するリスクを防ぐことにもつながります。
低用量ピル服用による血栓症を予防する方法
低用量ピルの副作用でもっともリスクが高い血栓症。10万人に1人以下の割合で最悪の場合死に至るケースも報告されています。
しかしこのような重大なリスクは、定期検診や検査を受けたり、日ごろから血栓症の予防をしたりすることで防ぐことが可能です。
低用量ピルの服用開始から定期的に検診・血液検査などを受ける
低用量ピルでの血栓症のリスクを少なくするためには、初診から定期的に検診や血液検査を実施しましょう。
副作用を発症するリスクを最小限に抑えるためにも、以下の目安で医師の診察や検診、必要に応じてDダイマー検査などの血液検査を行うことが必要です。
- 服用開始から1か月後
- 服用開始から3か月後
- 服用開始から6か月後
- 服用開始から1年後
このような目安以外にも、体の不調やいつもと違うような変化を感じたら、すぐに医師や病院・クリニックへ相談することを心がけましょう。
水分をしっかり摂取する
水分をしっかり摂取することで血液の流れがよくなるため、低用量ピル服用による血栓症の予防につながります。
低用量ピルを服用しているときには、朝目覚めたときや入浴後、スポーツで汗をかいたあとなど、1日1Lほどの水分を積極的に摂取するようにしましょう。
一方でお酒やコーヒーなどは利尿作用が強く、血液中の水分が減ってしまうため、低用量ピルを服用しているときには控えるようにしてください。
適度な運動を心がける
低用量ピルを服用中は、長時間同じ姿勢でいることは避けるようにし、軽い運動やストレッチなどを取り入れましょう。
また以下のような適度な運動を取り入れることも、エコノミークラス症候群(肺塞栓症)などの血栓症の予防につながります。
- 車通勤から徒歩・自転車通勤に変える
- 駅やオフィスでは階段を使う
- ひと駅手前で降りて歩く
- 軽い体操やストレッチ
- かかとの上げ下ろし運動
運動習慣を継続するためにも、無理のない範囲で運動することを心がけてください。
着圧ソックスを使用する
車での長距離移動や飛行機移動、デスクワークなど、どうしても長時間同じ姿勢でいなければならない場合、着圧ソックスを着用することも血栓症の予防につながります。
着圧ソックスを着用することで、むくみの軽減、足の静脈に血栓ができてしまうことを防ぐことができます。
喫煙を控える
35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方は、血栓症のリスクが高いため、ピルを処方することはできません。低用量ピルを服用する場合は、1日に喫煙するタバコの量を減らすか、禁煙するのが望ましいでしょう。
また低用量ピルとタバコの組み合わせは、血栓症や心筋梗塞など、さまざまな病気を発症するリスクを高めるため、低用量ピル服用中はなるべく喫煙回数を減らすようにしましょう。
低用量ピルによる血栓症は定期検診・検査や日常の対策で防げる
低用量ピルの服用において、もっとも懸念されている血栓症ですが、ピル服用によって血栓症を発症するリスクは年間1万人に3~9人と非常にまれな副作用といえるでしょう。
正しい服用方法と注意点を守ったうえで、体調の変化や不調を感じる場合にはすぐに医師に相談・報告するようにしていれば、問題なく服用できる薬です。
すぐに病院へ行くことができない場合や、医師以外の人と顔を合わせたくない場合などはオンライン診療を活用してみてもいいでしょう。自宅にいながら医師が診察を行ってくれ、スマートフォン1つで手軽にいつでも受診できます。
さらにオンライン診療の場合、ピルは自宅に配送してもらえるので、処方箋受け取りの待ち時間などのストレスを軽減できるのもメリットです。血栓症の不安や細かな体調の変化・不調についても、すぐに相談できるので、オンライン診療を検討してみてください。
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