低用量ピルがもたらす生理諸症状への効果
低用量ピルは避妊効果だけでなく、多くの女性が悩みを抱えている生理痛や月経前症候群(PMS)の症状緩和、生理期間の短縮、生理不順の改善など、生理にまつわるさまざまな効果も期待できる薬です。
生理痛(月経困難症)の緩和
低用量ピルは排卵を抑えるはたらきがある薬です。そのはたらきにより生理痛(月経困難症)の痛みの元となる物質が作られにくくなるため、生理痛の緩和にも効果があるといわれています。
月経困難症は、ホルモン分泌によって引き起こされる機能性月経困難症と、子宮筋腫などの病気が原因で起こる器質性月経困難症に分類されます。
機能性月経困難症の場合、痛みの原因の1つと考えられているのがプロスタグランディンという物質です。この物質は、生理時に子宮内膜で過剰に作られて血中に入り、痛みを引き起こす物質を増加させたり、子宮筋を収縮させたりします。低用量ピルの服用により排卵が抑制されると、この痛みの原因物質も抑えることができます。また、低用量ピルは子宮内膜を薄くするはたらきもあるため、経血量が減り、生理痛を緩和させることが可能です。
一方、器質性月経困難症の場合、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気の可能性も考えられるため、痛みがひどいときは医師の診察を受けたり、医療機関へ相談したりするようにしましょう。
生理不順の改善・生理期間の短縮
生理周期が不安定な場合や、生理が月に数回くるような場合、低用量ピルを服用するとホルモンバランスが整うため、生理不順を改善できます。
さらに低用量ピルは子宮内膜を薄く保つ効果があり、生理量が減少するため、生理期間が2~4日ほどに短縮されます。また生理量が減少するため、生理による鉄欠乏性貧血を改善することも可能です。
月経前症候群(PMS)の症状の緩和
月経前症候群(PMS)とは、生理の数日前から起こる心身の不調や身体的な不調のことです。
症状は人によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。
- 情緒不安定
- イライラ
- 気分の落ち込みや抑うつ
- 眠気
- 不安
- 自律神経症状によるのぼせ
- 下腹部痛や頭痛、腰痛
- むくみ
- 乳房の張り
この月経前症候群(PMS)は、排卵から生理までの期間の後半に“エストロゲン”と“プロゲステロン”が急激に減少し、ホルモンバランスが乱れてしまうことが原因の1つと考えられています。
低用量ピルは体内のホルモンバランスを整えてくれるため、月経前症候群(PMS)を緩和させる効果も期待できるのです。
子宮内膜症の症状の緩和
何らかの理由により、子宮以外の場所に子宮内膜ができてしまうことを「子宮内膜症」と呼びます。
この子宮内膜症は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが増加することで、病状は進行していきます。
しかし、低用量ピルは女性ホルモンを一定に保つはたらきがあるため、子宮内膜症の治療にも有効です。
子宮内膜症になると、月経困難症や不正出血、不妊症などの症状を引き起こしてしまうこともあるので、低用量ピルにより女性ホルモンのバランスを整えて、生理痛や不正出血などの症状を緩和、不妊症を予防することも可能です。
ピルで生理日をずらす場合
ピルで生理日をずらす場合は、ホルモンの配合量が低用量ピルよりも多い、中用量ピルを使用します。
生理日をずらす方法は、使用する中用量ピルの服用方法などによって変わってくるので、必ず医師の診察を受け、使用方法を指導してもらうようにしましょう。
中用量ピルを服用するとき、個人差はありますが倦怠感(けんたいかん)や眠気、頭痛、吐き気などの副作用が現れることがあります。また、短期間の服用でも血栓症のリスクが懸念されるので、身体の不調や異変が起こった場合は医師に相談するようにしてください。
また、低用量ピルでも、服用方法を変えることで生理日をずらすことが可能です。この場合、服用している低用量ピルによって服用方法が異なるため、初回にピルを処方してもらった医師に相談して、実施するようにしましょう。
生理痛などの症状を緩和したい場合は医師に相談を
低用量ピルは女性ホルモンが含まれた薬で排卵を抑えるはたらきがあるため、避妊効果だけでなく、生理痛などの緩和や月経前症候群(PMS)など、生理諸症状への効果や子宮内膜症の治療などにも効果が期待できます。
病院やクリニックに足を運ぶ時間がない方や、医師以外の他人に顔を合わせたくないという方は、新型コロナウイルスにより活用が広まっているオンライン診療を選択するのもよいでしょう。
低用量ピルは必ず医師の診察を受けて処方してもらう必要があり、オンライン診療以外でのネット通販や海外からの個人輸入で購入することは推奨できません。
オンライン診療では、医師と直接対面して受診することができないデメリットはありますが、自宅で気軽に診察でき、処方薬も自宅まで届けてもらえるのが魅力です。
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